会長の挨拶
ごあいさつ
我々は、変化の激しい先行きが不透明な社会を生きています。教育は時代の先を見通して行う必要がありますが、将来必要となる資質や能力をあらかじめ確定することは困難です。また、多様な個性のある生徒に対して、一つの目指す生徒像で括ることもできません。これからの教育のあり方は、複雑性・流動性・多様性の中で、動的に考え続けていかねばなりません。
中等教育では、初等教育における共通に必要となる基礎教育を基盤とし、生徒の自由を尊重し、一人ひとりが自らの個性や強みを活かし、それらを伸ばしながら、多様な他者と協働して社会課題の解決に向けて責任をもって行動できるよう支援していくことが求められています。
そのためには学校や教師が教育の責任をもつことはもとより、生徒自身にも『学習者としての社会的責任』をもてるようにしていくことが必要と言えましょう。まずは、学校において自分や自分達の学びをよりよいものにしていこうとする意志を育てていかなければなりません。そしてゆくゆくは、社会的に自立し、よりよい社会の実現や、自己と他者の幸福に貢献できるような意志を育てていかねばなりません。
OECD Future of Education and Skills 2030 においても、「変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力」として「生徒エージェンシー」が提唱されています。また生徒自らが自分の学びを自己決定する「ラーニングコンパス」や、社会における「ウエルビーイング」の理念が掲げられています。
豊かに学ぶことを通して、自ら学ぶことの良さを実感し、自らの学びをより良いものにしようという意志をもてるように、教育のあり方を考えていく必要があります。生涯学習の基盤が学校教育にあり、学校での学びの経験が生涯にわたる学び方を左右します。「なるほど、そうか、すっきりした」という納得のある学びや、「自分と違う意見を聞くことができてよかった」という協同のある学びを通して、「やりがい」や「生きがい」を感じることが自ら学ぶ力の源となるでしょう。自然や科学、人類の歴史や文化、社会の成り立ちを学ぶことを通して、社会の一員として責任ある主体として行動できるようになっていくことが求められます。
中高一貫教育の最大のメリットは、中等教育6年間の発達を見通した連続性のある豊かな学びにあります。教育実践の充実をはかり、豊かに学ぶことを通して、個人や社会のウェルビーイングの実現に貢献できる生徒の育成に努めていきます。 皆様のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。